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2018年5月12日 (土)

「伝統」という言葉の危険性、闘牛や動物漢方は本当に必要なのか

近年、日本でもスポーツ界における「伝統」で女性に対する考え方が問題視された。
「伝統」とは古くからある文化や遺産を維持するという意味であり大変素晴らしい言葉であるが、一方でこの言葉で、時代によって変化を望まれることもそのままになるということもあり得るようである。
それは人間だけでなく動物達の命にも関わっている。
以下はその国々の伝統的競技、伝統の食文化の一例であるが、そのことにちなんだ問題や議論も巻き起こしているものである。


スペインの男性、闘牛中に死亡

2年ほど前のことではあるが、2016年、スペインの東部で伝統的な文化であるとされる闘牛が行われ、牛との闘いによって闘牛士の29歳の男性が死亡した。
この男性の試合には家族も観覧に訪れておりその目の前での出来事だった。
この男性は500㎏もある牛に角で突き飛ばされ、仲間の闘牛士が助けに入ったが間に合わなかったということである。
スペインでは闘牛を残酷で今の時代にはふさわしくないとして廃止すべきだという意見と伝統であるという理由で残すのが当然という意見が以前から対立している。
このスペイン人男性の死亡事故に関しては彼の死を悼むのはもちろんであるが、人間にも牛にも悲劇が起こるこのような競技はやめるべきだという海外の人達のコメントも多く寄せられていた。
また、牛は闘牛用にわざと狭い飼育小屋に入れられ、そのために気が荒くなるとされていて、そのような闘牛用の牛を意図的に作るのは人間であり、そもそも牛に罪はないという意見もあった。

動物漢方はアジアの伝統的食文化、効果は?

アジア圏では亀や珍しい動物を東洋医学である漢方に用い、健康効果のある珍味として食すことがある。その中の一つで例えば亀ゼリーというものがある。
亀ゼリーとは中国や東南アジアなどで食されているその名の通り亀を食材に使用したゼリーである。
亀ゼリーは伝説によれば西太后の息子である同治帝が病気を治すために食していたとされている。
同治帝はこのゼリーを食べていた時は健康状態がよかったが途中でやめてしまったため、病を悪化させ死に至ったとも伝えられている。
元々はミスジハコガメという種類を用いていたが、亀ゼリーや漢方にするために乱獲され絶滅危惧種となってしまい、現在はスッポンのツチガメが用いられているそうである。
美肌、デトックス、便秘、解熱、夏バテなどの効能があるとされているが、あくまで健康食品の域で考えられているものである。
中国やアジアではこのように亀を健康食材として用いることによる密輸事件が後を絶たない。
台湾では計2600匹あまりの亀が中国に密輸される目的で船に乗せられており、富裕層の珍味や漢方薬に使われるのが目的だったという。
他にもインドネシアでは重さ2トンもの爬虫類と両生類が滋養強壮のために食材として密輸されていたのが発覚した。
またセンザンコウという哺乳類も漢方にされることで密輸対象となることもある。
亀に関しては中国などの国内では乱獲し尽くしてしまったということで、現在は海外や日本のイシガメなどが標的とされているということである。

以上が動物を娯楽や珍味として使用している一例であるが、この二つのものが人間にとって本当に欠かせないものであり医療や生活に大きな効果を持つならばまだ納得できるところもある。
また、西太后の息子のように当時では治すのが難しい病気を少しでもよくするためというのも理解できる。
しかし闘牛は娯楽であり、動物漢方や珍味に関しても現代医学が進んだ今では絶対的な健康効果もあるのかどうかも分からない。
そのような曖昧な理由で密輸は増加し、一時の楽しみのために動物は日々命を奪われている。
それは「伝統」ではあるが変化させない方がよいことなのであろうか。
日本人も海外の人もこの問題については一度しっかり考えてみた方がよいのではないだろうか。

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伝統の言葉で済まされる動物の命 人にも動物にも有益でないことには変化を by スペクトル

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